市朗怪全集とは
実話系怪談のパイオニア、『新耳袋』シリーズの著者の一人が、語りで送る怪談全集!
1990年代に巻き起こったJホラー・ブームを牽引した実話怪談界の大御所が、満を持して登場する!!
全てが実話。この現代に現れた闇と異界の世界を聴け!!
内容紹介
瓜二つ(12分)
会社員のWさんは、初めて訪れたラーメン屋でまるで常連客のようなサービスを受けた。また、よく行く服屋でも店員に不可解な態度を取られたのである。
どうやら、自分がもう一人いる。そう思わざるを得ないことが起きる。
呼ぶ声(5分)
Aさんの義母は何かあると「A子、A子」と呼ぶ。そんな義母も介護が必要となり、ある日施設に預けることができた。義姉には事後承諾ということで翌日報告に行った。ところが義姉は、今朝こんなことがあったんだけどと、妙な話を始める…。
ご先祖様(9分)
主婦のA子さんは長いこと喉の病気を患っている。特に夕方5時以降は高熱に見舞われて寝込んでしまう。医者は「扁桃腺の問題です」と言うだけだ。ある夜、あまりの痛さ、苦しみ、辛さで心が折れそうになった。「もう死ぬのも怖ないわ」。するとその時に何かが現れ、お迎えが来たとA子さんは思ったのだが…。
野球のボール(17分)
福祉の仕事をしているCさんは、中学生のA君の相談を親身になって聞いていた。ある日CさんがA君のマンションを訪問した際、そこで子供の転落事故を目撃する。その後からA君は妙なことを言い出した。
夜中の公園から野球をしている子供たちの声が聞こえるというのだ。Cさんはその子供たちの正体を知り戦慄する。
火事の跡(14分)
Y子さんの娘は小学6年生。その通学路で火事を目撃した。その後、娘はその火災現場跡に妙な物を見るようになった。焼け残ったアパートの窓から白いカーテンがたなびいているというのだ。
でもアパートはたしか全焼したはずだ。ある日その娘が真っ青な顔で帰って来て…。
挨拶(4分)
中学生の男の子が友人宅へ遊びに行った。チャイムを鳴らそうとすると唐突に玄関が開き、二十歳くらいの女性が出てきて挨拶をして立ち去った。改めてチャイムを鳴らすと友人が迎えてくれたのだった。
男の子がさっきの女性の話をすると、そんな人は家族にいないし来客でも無いというのだが…。
アイドルのグッズ(6分)
Hさんの曾祖母が亡くなる前のこと。母が「なにか欲しい物はない?」と訊くと「Y君の団扇とタオルが欲しい」という。曾祖母お気に入りのアイドルのグッズである。
注文して母がお金を払おうとすると「それは私が出す」と、ちょっとした喧嘩になった。グッズが届いたころ。曾祖母は亡くなっていた。ところが…。
かわいいこと(6分)
CAのAさん。フライトを終えて鹿児島のホテルに宿泊となる。チーフパーサーから「どこのホテル?」と訊かれてホテル名を言うと「あら、そう。まあ、それも経験ね」と言われた。
Aさんは疲れて就寝したが、ふと夜中に目が覚めた。そして人生初の霊体験をすることになり、その原因をも知ることとなる…。
高笑い(13分)
戦後間もなくのことである。当時は隣町までは、1時間歩いて山越えをしなければならかった。Sさんの祖父は漆黒の山道を歩いていると、突然女の高笑いが聞こえた。闇の中に姿は見えない。しかし気配を感じる。その闇から突然、ぼろぼろの着物を着た若い女が飛び出してきた。
曲女(まがりめ)(9分)
Mさんが小学校5年生の時のこと。放課後、男女5人の友達と教室を出た。一階の廊下に差し掛かると黄色いランドセルを背負った女の子が目の前を通って、その先のトイレへと入って行った。それを見た女の子が「私もトイレ」と走り出した。そして、ほどなくして女子トイレから悲鳴が上がる。
彼女の姿(18分)
50歳になろうかという男性Mさんは独り身である。20年ほど前に婚約者が亡くなってから結婚はしないと誓ったという。ただ婚約者の死因が実に不可解なもので、しかも亡くなった彼女はビデオでメッセージを送って来るというのだが…。
中山 市朗(なかやま いちろう) プロフィール
作家、怪異収集家
1982年、大阪芸術大学映像計画学科卒業。映画の助監督や黒澤明監督の『乱』のメイキングの演出などに携わる。
1990年、扶桑社から木原浩勝との共著で『新耳袋〜あなたの隣の怖い話』で作家デビュー。『新耳袋』はそれまでただ怪談で括られていたものから、実話だけにこだわり百物語を一冊の著書で実現化させた。
『新耳袋』は後にメディアファクトリーより全十夜のシリーズとなり復刊。『怪談新耳袋』として映画やドラマ、コミックとして展開。
Jホラーブームを作った作家や映画監督に大きな影響を与え、ブームをけん引することになる。
著書に『怪異異聞録・なまなりさん』『怪談実話系』『怪談狩り』シリーズなどがある。
怪談は語ることが重要と、ライブや怪談会、放送などでも積極的に怪談語りを行っている。その他の著書に『捜聖記』『聖徳太子・四天王寺の暗号』『聖徳太子の「未来記」とイルミナティ」など多数。
|