市朗怪全集とは
実話系怪談のパイオニア、『新耳袋』シリーズの著者の一人が、語りで送る怪談全集!
1990年代に巻き起こったJホラー・ブームを牽引した実話怪談界の大御所が、満を持して登場する!!
全てが実話。この現代に現れた闇と異界の世界を聴け!!
内容紹介
映画に行きたい (7分)
アニメーターのKさん。友人と映画を観る約束をしていたが仕事が押して映画を観る時間になっても仕事が続いている。携帯電話の無い時代。友人にそのことも言えずに翌日となった。ところが友人から電話があった。「昨日、一緒に映画見たけど元気なかったよな。どうしたんだ?」という。もちろんKさんには覚えがない…。
出てこない (4分)
中学生のMちゃんが学校に遅れると言ってお母さんからタクシー代をもらってタクシーで学校へ直行した。そのころ、Mちゃんと電車通学をしている友人たちはある駅のトイレでMちゃんがトイレから出てこないのを心配していた…。
同僚のIさん (5分)
ある二人OLに取材をした時の話。三人で残業していた時、その一人がデザイン室に入っていく上司のIさんを見た。用事があったのでその姿を追っていくとデザイン室は空だったという。それを聞いたもう一人のOLも、Iさんなら私もヘンなIさんを見たよ、と、もうひとりのIさんがいるのかもと妙に話が盛り上がっていく…。
都市伝説としてのドッペルゲンガー (19分)
もう一人の自分を自分自身が見る、あるいは第三者が目撃する。これをドッペルゲンガーと言うが、実は日本においても平安時代にすでにそれらしき記述がある。また芥川龍之介もドッペルゲンガーを二度見たという。一般に言われる都市伝説としてのドッペルゲンガーという現象を検証してみよう。
沖縄の中山市朗 (17分)
実は私を真夏の沖縄の浜で見たという人が少なくとも4人いる。私を知った人もいればまったく知らない人もいた。そして、偶然なのかそんな人が向こうから「沖縄で」と言いながら私に挨拶してくるのだ。しかし私にはまったく覚えがない。他人の空似かと思ったがそうではないらしい。なぜならば…。
八尾のレンタルビデオ店 (17分)
そのもう一人の私が大阪府八尾市のレンタルビデオ屋のアダルトコーナーに出現したという目撃があった。私と仕事をしたことのある放送作家で、間違いないという。数年ぶりにその人と会うと驚くべき証言が出た…。
作家・田辺青蛙の見たもの (4分)
私に似た人、というか目撃者にとっては紛れもない私を見たという人は増え続け、ついに数年前、大阪の京橋駅前で作家の田辺青蛙さんが自転車に乗った私を見たという。だがその日は、私は松葉杖を突く生活をしていたことを彼女は知ることになる…。
自分に似た人がこの世にいる確率 (8分)
ここに挙げたドッペルゲンガー現象はそれでも他人の空似、あるいは似た人がいるんだろう、と否定的な意見も当然出るだろう。ある大学の研究者が自分とそっくりな顔を持つ人がいる確率を算出している。それにプラスして私が着ている洋服、髪型も加味し、目撃者とコミュニケーションまでとっていることを考えると、その確率は驚くべき数値であった…。
私 (4分)
中山市朗のドッペルゲンガーは私自身が目撃したわけではない。ただこう言う現象は自分が自分の姿を見ると死の前兆を意味するという話もある。ここで自分自身を間近で見たというある女性の体験談を紹介しよう。それは彼女の部屋の中でのこと…。
もうひとりの私 (20分)
ある女子高校生が一カ月の入院をして退院をしていった。その間彼女は医者や看護師とは一切口を利かなかったという。ところがその看護師長が通院している彼女とバッタリ会った。するとこの時、彼女から驚くべき話が語られた。それを気にして何も言えなかったのだという。それは、もう一人の自分が友人たちと約束をして知らない場所へ遊びに行っているという。しかも約束を破ることもしばしばでその苦情が彼女のところへ来るのだ。もちろんそんな覚えはない。だが後に母親から信じられない事実を聞かされる…。
中山 市朗(なかやま いちろう) プロフィール
作家、怪異収集家
1982年、大阪芸術大学映像計画学科卒業。映画の助監督や黒澤明監督の『乱』のメイキングの演出などに携わる。
1990年、扶桑社から木原浩勝との共著で『新耳袋〜あなたの隣の怖い話』で作家デビュー。『新耳袋』はそれまでただ怪談で括られていたものから、実話だけにこだわり百物語を一冊の著書で実現化させた。
『新耳袋』は後にメディアファクトリーより全十夜のシリーズとなり復刊。『怪談新耳袋』として映画やドラマ、コミックとして展開。
Jホラーブームを作った作家や映画監督に大きな影響を与え、ブームをけん引することになる。
著書に『怪異異聞録・なまなりさん』『怪談実話系』『怪談狩り』シリーズなどがある。
怪談は語ることが重要と、ライブや怪談会、放送などでも積極的に怪談語りを行っている。その他の著書に『捜聖記』『聖徳太子・四天王寺の暗号』『聖徳太子の「未来記」とイルミナティ」など多数。
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