旧約聖書続編2 聖書協会共同訳＜知恵の書～マナセの祈り＞

[オーディオブック] 旧約聖書続編2 聖書協会共同訳＜知恵の書～マナセの祈り＞

日本聖書協会
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899分 105ファイル 2023年12月発売
本体 2,500円税込 2,750円

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内容紹介

本の中の本と称される聖書。聖書は多くの人の手によって書かれた、神と人間との歴史における出会いの物語です。今から3000年ほど前の紀元前10世紀頃にその最も古い部分が書かれ、紀元後2世紀に最後の書が書かれました。
聖書は大きく旧約聖書と新約聖書に分けられます。この旧約聖書続編と呼ばれている書は、紀元前から紀元後1世紀までの400年間に成立した、ギリシア語やラテン語の旧約聖書に基づく宗教文書です。旧約と新約の間の時代の歴史書、物語、格言などが収められており、現在ではカトリック教会と聖公会などの礼拝で用いられています。
この「旧約聖書続編2」には、知恵の書からマナセの祈りまでが収録されています。

【知恵の書】(19トラック・437節・116分)
無名のユダヤ人が王ソロモンの声で語った書が知恵の書です。実際にはソロモンの時代よりも1000年後に書かれました。著者は、神の知恵を求め、正義を実践する者が不死への道を得ることができ、悪を行う者は永遠の絶望に瀕すると語ります。このように知恵の書にはユダヤ教の伝統と霊魂不滅というプラトンの思想であるヘレニズム哲学との融合が見られます。しかし新約聖書において引用や模倣が見られることから、初期のキリスト教思想や、イエス・キリストの性質や聖霊の概念、キリストの受難に関する教義などに影響を与えたと考えられています。

【シラ書（集会の書）】(51トラック・1431節・285分)
シラ書はエルサレムを拠点に私塾を開いていた律法学者ベン・シラによって書かれた書です。本書には、信仰のほか友情、家庭生活、人間関係、仕事、健康、経済、社会、など生活全般にわたっての勧めが記されています。彼はエジプト、ギリシアの格言集など旧約聖書以外からの引用を通じても知恵を示し、信仰に基づく生活を勧めます。シラ書はイエスや初期キリスト教にも影響を与えており、後のいくつかの教会会議においても聖書の一部としてその地位が確証された書物です。

【バルク書】(5トラック・141節・36分)
バルク書は、預言者エレミヤの書記で友人でもあるバルクによって記されたとされる文書です。物語、祈り、詩、そしてエルサレムを励ます使信の四つの部分で構成され、複数の文学的要素が統合されています。最終的な成立時期や著者については分かっていないものの、ダニエル書からの引用（1:15-3:8）があることから、諸部分は前2世紀後半から後1世紀半ばの間にまとめられたと考えられています。本書は律法を強調し、ディアスポラのユダヤ人たちに伝統的な価値や習慣を維持するように語ります。本書は初期キリスト教徒たちにも読まれ、バルクはユダヤ人とキリスト教徒の両方にとって指導者の模範となっています。

【エレミヤの手紙】(1トラック・71節・21分)
エレミヤの手紙は、「ディアスポラへの手紙」という初期ユダヤ教の文書のジャンルに属する文書です。前2世紀頃の無名のユダヤ人が、エレミヤ書29章にある、預言者エレミヤが捕囚の身となった人々に宛てたという手紙の体裁でこの文書を記したと考えられています。この手紙は、十分に手紙としての形式をもっていないことから、離散しさまざまな環境下でギリシア文化の影響を受けつつあるユダヤ人たちに向けて、偶像崇拝を徹底的に退けイスラエルの神にのみ忠誠を尽くすように語った説教であると考えられています。

【ダニエル書補遺アザルヤの祈りと三人の若者の賛歌】(1トラック・67節・14分)
ダニエル書3章の増補的な文書で、バビロニアの王、ネブカドネザルによって炉の中に入れられた3人の若者が歌ったとされる二つの賛歌を記した書です。前半はユダヤ民族が契約を順守しなかったことを告白し、神に哀れみを乞うアザルヤの祈りで、後半は炉の炎から救ってくださったことへの感謝と、すべて被造物へ神を賛美するように呼びかける、アザルヤの祈りとは対照的な美しい賛歌が記されています。いずれの詩も正教会では現代に至るまで礼拝で用いられており、「三人の若者の賛歌」はカトリック、聖公会でも朝の祈りとして用いられています。

【ダニエル書補遺スザンナ】(1トラック・64節・16分)
スザンナは離散したユダヤ人共同体を舞台に繰り広げられる、スザンナという美しい女性と、彼女をおとしめようとする2人の長老の物語です。法廷ドラマの先駆けとも言われており、今なお人気の高い物語です。異国人がユダヤ地方を支配していた時代（前6〜2世紀頃）に語り始められたと考えられているこの物語は、神の掟に忠実であることを勧めながら、力や権力や持つことによる道徳的腐敗への警告、そして正義と公平を訴えます。本文に登場するダニエルは、当初は無名の人物だったと言われており、ダニエルの関心が高まった前2世紀から現在の形になっていったと考えられています。

【ダニエル書補遺ベルと竜】(1トラック・42節・14分)
ベルと竜はバビロンを舞台にダニエルが活躍する二つの物語が収められた書物です。前半はバビロンで崇められていた、ベルという偶像の司祭たちとの対決、後半は神と崇められていた竜を退治する物語が記されます。その後に、ダニエル書6章にもある獅子の洞窟に投げ込まれる話が挿入されています。この物語は偶像崇拝、動物崇拝への非難が込められており、強力な諸民族に囲まれていたユダヤ人たちに、イスラエルの生ける神が唯一で真実の神であることを伝え、ユダヤ教のアイデンティティを守る役割を果たしたと考えられています。

【エズラ記（ギリシア語）】(9トラック・430節・125分)
エズラ記（ギリシア語）は、神との契約を守る英雄たちにスポットを当て、「捕囚前のヨシヤ王による礼拝の回復」「不正な支配がはびこる時代とバビロン捕囚」「エルサレムへの帰還と神殿の再建」という三つの出来事を描いた書物です。特にバビロン捕囚から帰還したユダヤ人がエルサレム神殿を再建する過程は詳細に描かれ、主要な登場人物であるエズラとゼルバベルの信仰と知恵によって神の計画が粛々と進められる様子が描かれています。この書においては「歴史を支配する神の力」が重要な主題とされており、その中で律法への従順や神殿の重要性を物語っています。

【エズラ記（ラテン語）】(16トラック・940節・238分)
エズラ記（ラテン語）は司祭エズラを中心とした三つの部分から成る文書です。中心となっているのは、3-14章の別名「第四エズラ記」として知られる黙示文書です。後100年頃、第一次ユダヤ戦争の失敗とエルサレムの破壊によってイスラエルの神殿は失われました。著者は神が神殿を破壊したローマ帝国を罰しないことを疑問に抱き、神がその応えとして見せた幻がこの文書に記されています。この文書は後のキリスト教会に影響を及ぼし、教会はキリスト教徒に向けて神の約束と信仰を強調する15-16章（第六エズラ記）を書き加えました。さらに、神の寵愛がイスラエルから教会に移ったという内容の1-2章（第五エズラ記）も付け加えられ、この書となりました。

【マナセの祈り】(1トラック・15節・5分)
マナセの祈りは、アッシリアに捕らえられた南ユダの王マナセが、バビロンの獄中で神に向かって祈ったとされる祈りが記されています。マナセは偶像崇拝や魔術を数多く行った最悪の王の一人であり、神はアッシリアを用いて彼を罰したことが、歴代誌下33章に描かれています。マナセは獄中で罪を主に告白し、赦しを請い、神に受け入れられエルサレムに帰還します。作者はユダヤ教徒ともキリスト教徒であるとも言われており、執筆年代ともに不明な点が多い書物です。イスラエルのために赦しを請う他の旧約の祈りとは異なり、個人の境遇に焦点を当てていることから、初期キリスト教徒にとって赦しを求める祈りの手本として用いられていました。