内容紹介
大学の文科に通っていた「私」に“佐野次郎”というあだ名を付けたのは馬場という男だ。
彼はまるでシューベルトに化けそこねた狐のような風貌で、上野公園の中にある甘酒屋の緋毛氈に座り、恋に狂っていた「私」を手招いた。
馬場とともに自堕落な生活を続けていた「私」は、恋の相手に袖にされ生きる気力をなくしていた――そこに、馬場から手紙が届く。
「一緒に雑誌を作らないか」
という誘いに乗った「私」は失恋の傷を忘れるように雑誌作りに没頭するが――。
合わせ鏡のような登場人物たちが鋭い会話を繰り広げ、物語は加速していく。
誰もが持つダス・ゲマイネを鮮やかに描き出した、太宰治初期の名作。
太宰治(だざい・おさむ)
津軽の大地主の六男として生まれる。共産主義運動から脱落して遺書のつもりで書いた第一創作集のタイトルは「晩年」(昭和11年)という。この時、太宰は27歳だった。その後太平洋戦争に向う時期から戦争末期までの困難な間も妥協を許さない創作活動を続けた数少ない作家の一人である。戦後「斜陽」(昭和22年)は大きな反響を呼び、若い読者をひきつけた。
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