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こう書房/鷲田小彌太 [オーディオブックCD] 考えることが苦手な人たちへ

[オーディオブックCD] 考えることが苦手な人たちへ

こう書房, 鷲田小彌太
パンローリング
CD 5枚約322分 2008年10月発売
本体 2,800円  税込 3,080円  国内送料無料です。
この商品は 本日 発送できる予定です。 (発送可能時期について)

  

発売未定 サンプル再生3から10分程度無料で試聴できます。

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混沌とした世の中で自分自身を確かに生きるために必要なのは、「考える力」。考えるといっても眉間にしわを寄せて難しく考え込む必要はありません。小さな疑問をほんの少し深く探ってみるだけで、新たな世界が広がるのです。さあ、一緒にプチ哲学してみませんか。「考えがうまくまとまらない」「自分の考えがない」「何をしていいか分からない」そんな子どもと大人のための考えるヒント。

目次

プロローグ 何をしていいか分からない、自分の考えがない、それが十代までの強みだ

第一章 重要なことと切実なこと

第二章 切実なことを考えてみよう

第三章 重要なことを考えてみよう

第四章 考えるために必要なこと

●「プロローグ 何をしていいか分からない、自分の考えがない、それが十代までの強みだ」より

■4 近ごろの子どもは考えないか?■〜「真似」

わたしは「独創」を好みません。これは子ども時代からの癖だったかもしれません。人を驚かすことをいったりしますが、奇説や異説ではないと思います。

わたしに向かって、「あなたの意見は常識だ。大常識だ。」といった人がいます。皮肉っていったのかもしれません。でもわたし自身は「常識」を張っていると思っています。重要なのは「張る」ことにもあります。常識を徹底的に主張すると、ちょっと常識ではすまないことになるからです。たとえば、「嘘をつかない」を徹底すると、言葉を口にすることができなくなるのではないでしょうか? 「嘘」の混じっていないこと(言説)はこの世にないからです。

わたしは考えることの九九パーセントは、真似(コピー)でできあがっている、という態度でものを考えることにしています。子どもにも、まず真似をしなさい、といおうとしてきました。「個性」なんてつまらないともいいます。

真似をしないで考えることは、人間にはできません。真似とは学ぶことです。学校では真似を徹底して教える必要があります。真似は考えることの基本です。真似=学ぶためには見本がいます。見本から学ぶと、おのずとその人なりのものが芽生えてきます。芽生えてこないなら、真似でおわっていいのだ、と思って下さい。そうすると、副産物として、真似を、独創的で、素晴らしいものだといいふらす「嘘」も見破ることができますよ。

●「第二章 切実なことを考えてみよう」より

■8 「大人」を考える■〜「人間」とは大人だ

子どもを脱して大人になると、「やりたいこと」が何かはっきりわかり、それを実現する知識や技術をもち、立派に自立してゆけるのでしょうか? そんなことはありません。子どもと大人の境目は、自分の働き(稼ぎ)で生活できることと、いらいら・そわそわをある程度抑える(コントロールする)ことができることだ、と思っていいのではないでしょうか? ごくごく簡単にいえば、仕事をもち、その仕事をきちんとこなしてゆくことができるかどうかです。

「大人」とは「おとなしい」人のことでもあります。温和で従順だという意味もありますが、基本的には「落ち着いている」ということです。きちんきちんと物事をやりぬくことができるということです。きちんきちんとやる能力がないのに、一気に目的に向かって駆け上がろうとすると、骨折したり転落します。こういう振る舞い方は軽率ということで、「稚気」といいます。大人のくせに子どもっぽいことをする、ということですが、大人であっても、もちろん子どもっぽい性質は残っています。残っているだけでなく、何か大きなことをする場合、勇気を奮ってしなければならない場合があるのですから、そういう場合の「稚気」はむしろ大人にとって「ときに」(ときどきも)必要になるのです。

ということは、人は老若男女をまとめて「人間」といわれますが、自立して生きることができる一人前の人間、「大人」が人間であり、子どもは「半人間」、大人であっても自立できないのは「半人間」といわれる理由です。

何歳になっても、成熟した大人でも、悩みます。間違います。ときにとんでもないことをしでかします。正確にいえば、人間が迷い、誤りを犯し、打ちのめされるのは、むしろ大人になってからといっていいでしょう。ただし、人間(大人)は迷いを脱し、誤りを正し、立ち直る「復元力」をもっています。少なくとも、大人なら(自力で立ち直る)復元力をもっているものとみなされます。

著者紹介

鷲田小彌太(わしだ・こやた)…1942年、札幌市生まれ。大阪大学文学部哲学科卒業後、同大学院博士課程単位習得中退。三重短期大学教授を経て、現在、札幌大学教授。専攻は哲学、倫理学。評論活動のほか、哲学書・人生書・エッセイなどの執筆を精力的に行なっている。主著に、『新大学教授になる方法』(ダイヤモンド社)、『老後に備えない新哲学』(彩流社)、『人生の哲学』(海竜社)、『夕張問題』『あの哲学者にでも聞いてみるか』(祥伝社新書)など多数。

※本商品は「考えることが苦手な人たちへ」(こう書房刊 鷲田小彌太著 ISBN:978-4-7696-0968-1 231頁 1,470円(税込))をオーディオ化したものです。

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