上方講談 古典怪談の世界
近年、注目を浴びている、日本の伝統話芸「講談」。
「冬は義士 夏はおばけで飯を喰い」と川柳に詠まれたほど、
講談師は夏になると怪談を語ってきている。
クーラーのなかった時代、観客は講談師の語る世界に身をゆだね、
背筋を凍らせ、暑い夏を忘れた。
講談師の旭堂南湖が贈る古典怪談。
故きを温ねて新しきを知る。
名調子で語る「日本の怪談」ここにあり。
内容紹介
有馬猫騒動・その九「和解」(26分)
犬上軍兵衛の働きで、小野川と雷電は、誠に打ち解けて仲直りが出来ました。
間もなく雨は小やみになる。雷電は四谷に帰り、小野川は我が家へ戻る。
翌日は、小野川、母親の葬式。もうこの日から土俵に上がりません。喪に服すことになった。相撲仲間はこのことを聞いてびっくりしました。しかし、犬上軍兵衛の仲裁で治まったから、三十六人の相撲年寄は犬上軍兵衛を伏し拝んだ。犬上が無かったら小野川、雷電という名力士が二人、土俵へ上がることが出来ぬようになる。双方、無傷で治まったのは全く犬上先生のお陰と、喜んでいます。
有馬猫騒動・その十「火事場の働き」(22分)
芝口一丁目の合羽屋から火が出た。有馬公は猩々緋の火事羽織を一着致され、連線葦毛の馬に跨がり鞭を取ってお控えに相成っている。御家中の面々もことごとく火事装束でお側を固め、有馬公お抱えの鳶人足はお霊屋の屋根に濡れむしろを上げ、竃水で水を注ぎ、しきりに消防に尽力している。見渡す向こうは一面の煙。ここへ駆け付けた小野川喜三郎。さあ、どうなる。
有馬猫騒動・その十一「小野川登場」(23分)
有馬家の火の見櫓に怪物が現れて、夜な夜な番に上がる足軽を悩ましたり、命を取ったりするという評判でございます。
これを聞いた小野川喜三郎は、「こりゃあ俺が夜な夜な火の見櫓へ上がり、足軽に代わって番をなし、妖怪退治に及んで、その首を引っ提げてくれん」と有馬家へやってきた。
有馬猫騒動・その十二「化け物退治」(22分)
小野川は前後に目を配っておりますと、火の見櫓の屋根の上から、「小野川ー、小野川ー」としきりに呼ぶ声が聞こえる。
「ああ、火の見の屋根の上から聞こえる。それではこの屋根の上に来ているやがるか。おのれっ」と小野川は勝光の一刀の鞘を払わん勢いにて狙いをつけておると、「小野川。汝は我が子の首を切られて無念残念と思うか。只今その方へ首を返して遣わすぞよ」 と言うなり、小野川の前へ生首がゴロっと一つ転がってきた。小野川が取り上げて見ると、我が子三之助の首でございます。
「ああ、残念なり。さては怪物の為に我が子の首を取られたか。許してくれよ。三之助」 さあ、どうなる。
有馬猫騒動・その十三「大団円」(13分)
有馬猫騒動の物語。赤羽橋にある久留米藩、有馬中務大夫頼高公のお屋敷。七つ蔵の前にある火の見櫓。台地の上に立っており、非常に高い。
近頃、化け物がでる。火の見櫓の番に上がったものが、化け物に殺された。この化け物退治にやってきたのが、小野川喜三郎という力士だ。
ところが、この化け物は、小野川の弟子、上ヶ岡勇蔵に化けたり、また、柔術の使い手、犬神軍兵衛に化けたりする。さんざんたぶらかされております。
今日しも、上ヶ岡勇蔵と三引き清五郎の二人の弟子が、やってきて、化け物退治を手伝うという。小野川は二人を追い返した。「己一人の力で怪物を退治することできんから、弟子の力を借りたと人に言われたならば、この上なき恥辱。さあ、ふたりとも帰れ」
ところが、二人の弟子は、こっそり 小野川の後をついていくつもり。
旭堂 南湖(きょくどう なんこ) プロフィール
講談師。
1973年生まれ。
滋賀県出身。
大阪芸術大学大学院修士課程卒業。
1999年、三代目旭堂南陵(無形文化財保持者・2005年死去)に入門。
2003年、大阪舞台芸術新人賞受賞。
2010年、文化庁芸術祭新人賞受賞。
2015年、『映画 講談・難波戦記-真田幸村 紅蓮の猛将-』全国ロードショー。主演作品。
2019年、CD「上方講談シリーズ4 旭堂南湖」発売。「血染の太鼓 広島商業と作新学院」「太閤記より 明智光秀の奮戦」収録。
OKOWA胎動出場
怪談グランプリ2019出場
怪談最恐戦2019ファイナル出場
東大阪てのひら怪談優秀賞受賞
ZOOMを使った「オンライン講談教室」も好評。
講談や怪談の語り方をマン・ツー・マンで懇切丁寧に指導し、普及に努めている。
講談師・旭堂南湖公式サイト https://nanko.amebaownd.com/
Twitter http://twitter.com/nanko_kyokudou
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