| 内容紹介
山本周五郎は「文学には“純”も“不純”もなく、“大衆”も“少数”もない。ただ“よい小説”と“わるい小説”があるばかりだ」を信念とし、普遍妥当性をもつ人間像の造形を生涯の目的とした作家で、時代小説を中心に沢山の作品を残しています。その作風は今なお古臭さを感じさせず、繊細に描かれた人の心の機微や人情に、思わず笑わされたり、胸を打たれたりする魅力に溢れています。
 
 <あらすじ>
 安政の大獄から四年、大老井伊直弼が桜田の変に死んでから二年、王政復古、攘夷、倒幕の機運は次第に熟して、志ある人々はいたるところで挙兵の企てを急ぎつつあるときだった。大橋順蔵の周囲にも、宇都宮藩士を中心にして事を謀る者が増えていた。
 先程の平山兵介との密談で、一橋慶喜を動かすべく一橋家臣下の山本繁三郎へ添書きを書いたことを明かした順蔵だったが、その間も妻の稽古する横笛の音が気になって仕方が無かった。兵介が帰った後妻を諫めた順蔵だったが、妻は全く悪びれる様子もなかった。
 だが、状況は急転する。一橋家への添え書きを山本繁三郎が変心して訴え出たため、藩邸に呼びだされた順蔵はそのまま拘引されたのだ。自身が家に残した書状の処理を全く何も出来ておらず、どこに害が及ぶかわからない始末であり、万事休した順蔵には天祐を祈る他になす術もなかった。
 そんな折、順蔵は彼の元を訪れた門人の口から、思いも寄らぬ妻の助力を知るのであった……。
 山本周五郎(やまもと・しゅうごろう)
1903〜67年。小説家。山梨の生まれ。本名・清水三十六(さとむ)。名は生まれ年からつけられ、筆名は東京で徒弟として住み込んだ質屋「山本周五郎商店」にちなんだ。20代前半に作家活動を始め、39歳の時『日本婦道記』が直木賞に推されたが受賞辞退。その後も多くの賞を固辞する。江戸の庶民を描いた人情ものから歴史長編まで作品は数多い。代表作には、「樅(もみ)ノ木は残った」「赤ひげ診療譚」「おさん」「青べか物語」「さぶ」などがある。1987年9月には、「山本周五郎賞」が新潮文芸振興会により設定された。
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