実説 城谷怪談
老若男女皆が楽しめる怪談語りを目指し、落語や講談にも似た独特な語り節、ノスタルジックな世界観に定評がある城谷歩による怪談。
幼い頃から自身でも不思議な怪体験を数多く持ち、更に聞き集めた種々の実体験を含めるとその数は数百にも及ぶ。
そうした現代の実話怪談、奇談の中から選りすぐりをお届けする。
内容紹介
「怒る人形」(25分)
今から40年以上も前。体験者である山岡さんのお母さんが高校生の時、当時住まいしていた木造一部二階建ての家の2階が彼女の寝室だった。 その日も夕食後、家族の団らんを終え愛犬のエルを連れて2階に上がった。 寝るときは必ずエルが一緒だ。ところが寝入ってしばらく深夜の事、普段おとなしいエルが猛然と吠え出したのである。 驚いて起き上がると、枕元の箪笥の上を睨んで狂ったように吠えている。そこには数多のぬいぐるみが置いてあり、中央にある小さな日本人形が気になった。白い顔が、暗く見えたのだ。 おそるおそる近づいてみると、怒りの形相で顔には深くしわが刻まれていた。
「安い部屋」(31分)
城谷が初めて一人暮らしをした札幌にある5階建てのアパート。極端に古かったわけではないし、ユニットバス、水洗トイレ付きの二間だったが、保証人、敷金、礼金なしで
管理費込みで25000円の家賃は安すぎる部屋だった。 さっそく契約して住み始めたのだが、アコーディオンカーテンで仕切られた奥の6畳の和室にはほとんど入ることがなかった。和室には真っ赤な絨毯が敷かれており、内覧の時に不動産屋に尋ねると前の住人が残していったものだからよければそのままお使いくださいとのことだった。 その和室には思いもよらぬ何かが潜んでいたようで...。
「消えた兄 前編」(26分)
Sさんには年子の兄がいる。今では法事などでしか顔も合わさないうえに、会っても他人行儀に挨拶を交わすだけの関係になってしまったが、元々はとても仲が良かったそうだ。 疎遠になったきっかけははっきりしている。兄が小学校4年の時、2学年上のいたる君という近所でも有名な大きな子が「お前の妹をよこせ」と兄に詰め寄った。当然兄は断ったのだが、機嫌を損ねたいたる君は兄に組みかかり、散々暴行した挙句荒縄で縛り上げ、人目につかない神社の松の木に逆さづりにしたのである。 幸い近所に仕事をしに来ていた大工さんに見つかり無事だったのだが、その頃から兄は二人でいれば元のように優しいが人前だとSさんを邪険にするようになった。 ある晩怖がりの兄がトイレについてきてくれというので付きそうと大きな悲鳴を上げて自室に駆け戻ってしまう。 兄が指さした方には手足が異様に長い黒い影が...。
「消えた兄 後編」(24分)
Sさんにも影が見えた。異様な影はゆらゆらと揺らめきながら、2階の寝室に駆け戻っていく兄を追いかけていくようにしてスッと消えた。 あまりの騒ぎに同居していた両親、祖父母共に寝室に集まると兄はベッドで気絶していた。 母が正気を取り戻させようと固く絞ったタオルを額に当てるとハッと目を開けた兄が「来る!来る!」と絶叫して再び気絶。熱もないし呼吸も落ち着いているから様子を見ようと、その場はいったん落ち着きましたが、翌朝兄は何一つ覚えていなかったそうだ。 そうしてこの日からついに二人きりでいても兄は別人のように冷たい人になってしまったという。あの影が原因していて、その影がいたる君とかかわりがあるだろうことは更に後年になって思うところが出てきたようだ。
城谷 歩(しろたに わたる) プロフィール
1980年2月16日生 北海道小樽市出身
15歳から舞台演劇を中心に俳優活動を始める。
その後、劇団深想逢嘘(2000年〜2011年)を発足、主宰を務める。
様々な職種を経て2012年1月怪談師デビュー。怪談ライブバー スリラーナイト札幌本店で活動後、2014年から同六本木店オープンに合わせ上京。
外部出演、独演会開催、メディアへの出演多数。
2018年独立。公演情報などはHPにて。
http://shirotani-kwaidan.com
■メディア
・「所さんの目が点」
・「大人養成所バナナスクール」
・「Rの法則」
・「柴田阿弥の金曜thenight」
他多数
■書籍
・恐怖怪談「呪ノ宴」(竹書房 単著)
・怪談師恐ろし噺「裂け目」(竹書房 単著)
■DVD
・「怪奇蒐集者」(楽創舎)
・「六本木怪談 呪・祟」(楽創舎)
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