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源氏物語(一) 桐壺(きりつぼ)
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帝と桐壺更衣の間には、輝くように美しい皇子があったが、桐壺更衣は帝から受ける大変な寵愛ぶりから、他の妃たちの嫉妬や嫌がらせを受け、また病気がちであったために3歳の皇子を残して病死してしまう。死を深く嘆く帝であったが、亡き桐壺更衣の生き写しのような先帝の皇女藤壺が入内し、新たな帝の寵愛を受けることとなる…
源氏物語(二) 帚木(ははきぎ)
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五月雨の夕刻、一七歳になった光源氏は、頭中将(とうのちゅうじょう)、左馬頭(さまのかみ)、藤式部丞(とうしきぶのじょう)がとともに、四人で女性についての議論に花を咲かせていた。(俗に『雨夜の品定め』と呼ばれる有名な場面である)それぞれが自分の体験や過去の女性を語る中…
源氏物語(三) 空蝉(うつせみ)
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源氏をつれなくあしらう空蝉は、これでよいという思いと、このまま自分が忘れられてしまうのではという悲しみの間で、複雑な気持ちを抱いていた。また源氏は、悲しみにくれながらもかえって空蝉への思いが募り、空蝉の弟の手引きによって再び紀伊守の屋敷へと忍んで行った…
源氏物語(四) 夕顔(ゆうがお)
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源氏は、従者惟光の母でもある乳母の見舞いに訪れた際、隣家の垣根に咲く夕顔の花をきっかけにその家の女主と出会い、興味を持つようになる。源氏は身分を隠しながらも、惟光の手引きで夕顔のもとへ通うようになり、だんだんと心を奪われていく。八月の十五夜、源氏は荒れ果てた帝室の某院へと夕顔を連れ出した…
源氏物語(五) 若紫(わかむらさき)
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病に悩まされていた源氏は、治療のために北山を訪れた際、思いを寄せる藤壺の宮によく似た少女を垣間見る。少女が藤壺の宮の姪であることを知った源氏は、少女の祖母の尼君に結婚を前提に後見を申し出るが、その幼さゆえに断られる。病が回復した源氏は帰京した…
源氏物語(六) 末摘花(すえつむはな)
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源氏は夕顔のことが忘れられずにいた。思いをよせる藤壺の宮ともままならず、正妻「葵の上」との関係も相変わらずぎくしゃくしていた。そうありながらも、源氏は懲りもせずにあのような恋人を見つけたいと聞き耳を立てていた。そんな折、大輔の命婦という女房から亡き常陸宮の姫君の噂を耳にした…
源氏物語(七) 紅葉賀(もみじのが)
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朱雀院の祝典が執り行われることになった。それに先立って、身重で見物のできない藤壺の宮のために、桐壺帝は清涼殿の前庭で試楽(予行演習)を行うことにした。源氏は「青海波(せいがいは)」(今でも演じられる舞の一種)を舞い、人々の絶賛を浴びた。藤壺も、その舞姿に感動し夢心地であったが、源氏との子を授かったことに罪悪感を感じてもいた…
源氏物語(八) 花宴(はなのえん)
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二月、紫宸殿で桜の宴があった。頭中将らとともに披露した源氏の詩と舞は素晴らしく人々を驚嘆させたが、藤壺の心は複雑であった。宴の後、源氏はもし会うことが出来ればと思い藤壺の御殿辺りをうかがい歩くが入り込む隙もなく、そのまま弘徽殿の細殿の所へ歩み寄った…
源氏物語(九) 葵(あおい)
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桐壺帝が位を去り、源氏の兄の朱雀帝が即位した。藤壺(中宮)の若宮が東宮となり、源氏はその後見人になった。六条の御息所の女王は、伊勢神宮に奉仕する斎宮となった。四月、賀茂の葵祭が行われ、源氏も参列した。その姿をひと目見ようと身分を隠して訪れた御息所であったが…
源氏物語(十) 賢木(さかき)
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葵の上が亡くなり、源氏の次の正妻について世間が噂するなか、六条の御息所は、娘の斎宮とともに伊勢へ下ることを決意した。紫の上と結婚した源氏も、辛い別れを惜しんでいた。それから程なくして、桐壺帝が崩御して藤壺は三条の宮へと移り、それによって権勢は政敵の右大臣側へと移っていった…
源氏物語(十一) 花散里(はなちるさと)
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政治的な窮地に追い込まれ、鬱々としていた源氏。そんな折、かつて関係のあった亡き桐壺帝の女御のひとり、麗景殿女御の妹(花散里)のことを思い出す。五月雨の晴れ間に、源氏は久しぶりに訪ねることにした。
想像どおりに身にしむ思いのする邸で、麗景殿女御や花散里と昔をしみじみと語り合い、心安らぐ時間を過ごした…
源氏物語(十二) 須磨(すま)
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右大臣家の権勢の下、追い詰められた源氏は東宮の安全を守るためにも、自ら須磨へと退去することを決意した。左大臣家や親しい者に別れを告げ、紫の上には全財産を託した。須磨の侘しい生活の中で、源氏は都の親しい人々と便りを交わすことによって、わずかな慰めとしていた…
源氏物語(十三) 明石(あかし)
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雷雨はなおも続き、ついには邸が雷に打たれて一部炎上してしまった。そして雷雨の収まった明け方、源氏の夢に亡き桐壺帝が現れて、「住吉の神の導きに従って、すぐにその地を離れるように」と告げた。翌日、明石の入道が神のお告げを受けたと言い源氏を迎えに来たので、源氏は昨晩のお告げに従い、入道の申し出を受けて明石へと移った…
源氏物語(十四) 澪標(みおつくし)
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都に返り咲いた源氏は内大臣として政界の実権を握るようになった。朱雀帝が退位し、元服した東宮が冷泉帝となって即位した。またその他にもこれまで関わりを持った女君たちを住まわせるために、二条院の東院を造営することにした。一方で、姫君を生んだ明石の娘のために源氏は乳母と祝い品を送ったが、そんな源氏の様子に紫の上は嫉妬していた…
源氏物語(十五) 蓬生(よもぎう)
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源氏が須磨へ退去していた頃、後見を失った末摘花の生活は困窮を極めていた。邸は荒れ果て、召使いも去ったが、末摘花は宮家の誇りを失わずにいた。受領の妻となっている末摘花の叔母は、以前にこの宮家から軽く見られていたことを恨んでいた…
源氏物語(十六) 関屋(せきや)
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源氏が須磨から帰京した翌年、常陸介(元伊予介)がその任期を終え、妻の空蝉とともに、京へと戻ってきた。丁度、石山寺へ参詣途中であった源氏は、逢坂関で常陸介一行と出会う。人目が多く、直接言葉を交わすのは憚られる状態であったので、源氏は空蝉の弟右衛門佐を呼び寄せ、空蝉へ手紙を送った…
源氏物語(十七) 絵合(えあわせ)
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冷泉帝の後宮として源氏の後見のもと入内した梅壺女御(元斎宮)。先に入内していた弘徽殿女御は冷泉帝に寵愛されていたが、絵画の得意な梅壺は徐々に帝の寵愛を受けていく。弘徽殿女御の父、権中納言(以前の頭中将)はこれを知ると、優れた絵画を収集し始め、帝の気を惹こうと躍起になる…
源氏物語(十八) 松風(まつかぜ)
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光源氏は、いよいよ京に明石の君を迎えようと決心し、明石の君に京へ来るように手紙をいくたびも出すが、明石の君は自らの身分の低さを思い悩み、源氏をとりまくたくさんの女性の中に入っていく自信もなく、なかなか上京を決断できずにいた。そこで明石の入道が都にあった山荘を修繕し、そこに住まわせることとなった…
源氏物語(十九) 薄雲(うすぐも)
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思い悩んだ末に明石の君はついに娘の明石の姫君を紫の上に預けることを決意する。光源氏は母と子を引き離してしまった自分の罪深さを心苦しく思う。紫の上も、二条院に迎えた明石の姫君のかわいらしさを見るにつけ、母親はどれほど悲しく寂しいことだろうと、明石の君を思いやる。藤壺の女院が重い病に伏した…
源氏物語(二十) 朝顔(あさがお)
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父・桃園式部卿の宮が亡くなったため、朝顔の斎院は住まいを実家に移し、伯母の女五の宮と暮らすようになった。光源氏は年老いた女五の宮のお見舞いを口実に、朝顔の住まいを訪ねるようになる。長年、源氏と手紙のやりとりをしている朝顔だが、他の女たちのようにたやすく源氏になびくことはせず、つねに清い仲でいることを心がけていた…
源氏物語(二十一) 少女(おとめ)
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光源氏の息子である夕霧の元服が執り行われることになった。夕霧の官位は当然高いものと世間では思われていたが、源氏は夕霧を六位とした。あまりに低い官位に祖母の大宮は不平を述べたが、源氏は、身分に頼っておごった人生を送るのではなく、きちんと学問をおさめて立身出世をさせたいという考えを示すのだった…
源氏物語(二十二) 玉鬘(たまかずら)
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年月がたっても光源氏は亡き夕顔のことを忘れることができなかった。夕顔に仕えていた右近は、今や紫の上の侍女となっていて源氏に重んぜられていた。その夕顔の娘・玉鬘(たまかずら)は、乳母の夫が九州の小弐(しょうに)に任ぜられたため、四歳で都から筑紫へと下っていた…
源氏物語(二十三) 初音(はつね)
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新年を迎え、六条院の人々はうららかな新春を過ごしていた。紫の上は、明石の姫君の歯固めの祝い(固いものを食べて歯を丈夫にし、長寿を願う)をおこなった。明石の君から、明石の姫君へ新春の祝いの手紙が届いていた。光源氏は幼い明石の姫君に直接返事を書かせるのであった…
源氏物語(二十四) 胡蝶(こちょう)
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三月となり、六条院の春の御殿はまさに春爛漫の景であった。光源氏は春の宴を催し、池に唐風の船を浮かべ、女房たちを乗せて船楽をしたりして、華やかに過ごしていた。宴に招かれた若い公達(きんだち)たちの真の目当ては、玉鬘(たまかずら)である…
源氏物語(二十五) 蛍(ほたる)
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光源氏から恋心を告げられた玉鬘(たまかずら)は悩ましい日々を送っていた。源氏も人目をはばかってそれ以上言い寄ることはしないが、しばしば玉鬘を訪ねてくるのだった。そんななか、蛍兵部卿宮(ほたるひょうぶきょうのみや)は相変わらず熱心に玉鬘に恋文を送ってくる…
源氏物語(二十六) 常夏(とこなつ)
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暑い夏の日、光源氏は親しい公卿たちとともに水辺で涼んでいた。そこへ内大臣の息子たちも訪ねてきたので、源氏は最近噂になっている内大臣が引き取った娘のことについて興味深く尋ねた。夕暮れになって、源氏は奥へ下がり玉鬘(たまかずら)を呼び寄せる。水辺の若い公卿たちを玉鬘に見せながらも、源氏は玉鬘の実父である内大臣のことを話題にして話した…
源氏物語(二十七) 篝火(かがりび)
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光源氏は、内大臣が他で育った娘を深く考えもせずに呼び寄せて、気に入らなかったためにぞんざいな扱いをしていると、その娘に同情していた。玉鬘(たまかずら)はそれを聞いて、実の子であるからといって必ずしもよい扱いを受けるわけではないことを知り、自分は源氏に引き取られたことを幸運だと思うのであった…
源氏物語(二十八) 野分(のわき)
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六条院では、さまざまな秋の草花がさかりとなり、風流で優美な秋の野の景色を織りなしていた。折しも野分(台風)が近づいて、強まる風に人々は秋の草花を心配していた。 紫の上もこの野分を案じて、軒先まで出て庭の草木をながめていた。たまたま訪れていた光源氏の息子・夕霧(ゆうぎり)はその姿を垣間見てしまい、格別の美しさに心を打たれる…
源氏物語(二十九) 行幸(みゆき)
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十二月に大原野へ行幸(みゆき・天皇のお出かけ)があった。だれもみな行列を見ようとする中に玉鬘(たまかずら)も来ていたが、冷泉帝(れいぜいてい)の崇高な美貌にすっかり感じ入ってしまった。翌日、光源氏は玉鬘に「帝をご覧になって宮仕えをしてみたくなったのではないか」と言い、玉鬘は心をみすかされたように思うのだった…